Echoesのベルクト×リネア短編。
赤無垢→「貴方と結ばれた喜び」と知って浮かんだ話。
リネア視点の一人称。暗めの話です。
赤無垢→「貴方と結ばれた喜び」と知って浮かんだ話。
リネア視点の一人称。暗めの話です。
【赤の花嫁】
「では行ってくる」
「どうかご無事で。ベルクト様……」
「そんな顔をするな、リネア。
軟弱なソフィア兵どもに俺はやられたりせん」
「はい……ですが、お気を付けて……」
ベルクト様が戦場へ赴く際、私はその背中を見送り、無事を祈ることしか出来なかった。
私には戦う力がない。
どれだけベルクト様のおそばにいたいと思っても、戦場へ付いていくことは出来ない。
(力が欲しい。ベルクト様のそばにいられる力が……)
そうは思っても、一朝一夕でそのような力が身に付くものではない。
力を持たない自分が、憎らしくてたまらなかった……。
そして私は力を持たないまま、運命の時を迎えた。
ルドルフ陛下の血を引くリゲルの正当な後継者が、ベルクト様の前に現れたのだ。
リゲルの皇帝への道を断たれ、今まで自分が築き上げてきたものがすべて無駄だったと思い込んだベルクト様は、神の力にすがった。
「……ドーマよ、神よ……お望みどおり求めてやろう。俺に力を!!
すべてを壊す力を俺に! いかなる対価でももってゆくがいい!!」
「きゃぁぁぁぁ!!」
ベルクト様の手が、私の首を絞める。
息ができない。苦しい。気が遠くなる。
(これは……なに……?)
意識が薄くなっていくのと同時に、私は体の内から異質な力が湧いて来ているのを感じていた。
力が、私の中に渦巻いている…………。
そうして私は、ベルクト様の魔女になった。
「リネア……お前は本当に美しいなぁ……」
ベルクト様の手が、私の頬に触れる。
魔女になった私の体は強い熱を帯びていて、触れるものをみな燃やしてしまう。
だからベルクト様の手も、私に触れた瞬間ジュワっと肉が燃える音がした。
けれど燃えると同時にベルクト様の手は癒えていく。
ドーマ神の力が、ベルクト様のお体を守っているのだ。
だから私が触れられるのはベルクト様だけ。私に触れられるのもベルクト様だけ。
私はもうベルクト様だけのもの。
神の名のもとに、私はベルクト様と結ばれた。
嬉しい。嬉しい。
体の内側から力が溢れてくる。
この力があれば、どんな戦場でもベルクト様のおそばにいられる。ベルクト様と共に戦うことができる。
もう誰も、私とベルクト様を引き離すことはできない。
「リネア。アルムを倒したら結婚式だ。
お前の花嫁姿はどれだけ美しいだろう……なあ、リネア。お前はどんなドレスが着たい?」
ドレス……?
ベルクト様。私にドレスは必要ありません。
この身を焼く練獄の炎こそ、私の花嫁衣装なのですから……。
「では行ってくる」
「どうかご無事で。ベルクト様……」
「そんな顔をするな、リネア。
軟弱なソフィア兵どもに俺はやられたりせん」
「はい……ですが、お気を付けて……」
ベルクト様が戦場へ赴く際、私はその背中を見送り、無事を祈ることしか出来なかった。
私には戦う力がない。
どれだけベルクト様のおそばにいたいと思っても、戦場へ付いていくことは出来ない。
(力が欲しい。ベルクト様のそばにいられる力が……)
そうは思っても、一朝一夕でそのような力が身に付くものではない。
力を持たない自分が、憎らしくてたまらなかった……。
そして私は力を持たないまま、運命の時を迎えた。
ルドルフ陛下の血を引くリゲルの正当な後継者が、ベルクト様の前に現れたのだ。
リゲルの皇帝への道を断たれ、今まで自分が築き上げてきたものがすべて無駄だったと思い込んだベルクト様は、神の力にすがった。
「……ドーマよ、神よ……お望みどおり求めてやろう。俺に力を!!
すべてを壊す力を俺に! いかなる対価でももってゆくがいい!!」
「きゃぁぁぁぁ!!」
ベルクト様の手が、私の首を絞める。
息ができない。苦しい。気が遠くなる。
(これは……なに……?)
意識が薄くなっていくのと同時に、私は体の内から異質な力が湧いて来ているのを感じていた。
力が、私の中に渦巻いている…………。
そうして私は、ベルクト様の魔女になった。
「リネア……お前は本当に美しいなぁ……」
ベルクト様の手が、私の頬に触れる。
魔女になった私の体は強い熱を帯びていて、触れるものをみな燃やしてしまう。
だからベルクト様の手も、私に触れた瞬間ジュワっと肉が燃える音がした。
けれど燃えると同時にベルクト様の手は癒えていく。
ドーマ神の力が、ベルクト様のお体を守っているのだ。
だから私が触れられるのはベルクト様だけ。私に触れられるのもベルクト様だけ。
私はもうベルクト様だけのもの。
神の名のもとに、私はベルクト様と結ばれた。
嬉しい。嬉しい。
体の内側から力が溢れてくる。
この力があれば、どんな戦場でもベルクト様のおそばにいられる。ベルクト様と共に戦うことができる。
もう誰も、私とベルクト様を引き離すことはできない。
「リネア。アルムを倒したら結婚式だ。
お前の花嫁姿はどれだけ美しいだろう……なあ、リネア。お前はどんなドレスが着たい?」
ドレス……?
ベルクト様。私にドレスは必要ありません。
この身を焼く練獄の炎こそ、私の花嫁衣装なのですから……。